日程:2011年9月18日(日)
場所:交流会……北九州市立いのちのたび博物館
見学会……JR門司駅前柳町地区(2010年4月現在でねこ70匹)
参加者:長崎町ねこ調査隊塾塾生14名・北九州市調査員6名
交流会
- 山根氏あいさつ
- 中島塾長あいさつ
- 自己紹介
- 山根氏から北九州市でのねこ調査における現状について説明
- 中島塾長から長崎市でのねこ調査および塾活動内容について説明
- フリートーク
フリートーク内容
- 北九州市調査員からの質問(以下「北」と省略):まちねこ写真展開催にかかる経費捻出はどうしたのか?
- Ans:開催ギャラリーの所有者が塾生なので借り上げ費は無料、また喫茶店を併設している関係上、開催告知のチラシ制作、印刷費もギャラリー所有者が支出した。展示写真の印刷にかかる紙代、インク代のみ塾が支出し、その資金は長崎市からの助成金で賄っている。
- 北:塾の年間予算、及びその出所は?
- Ans:年間予算は50万、拠出元は長崎市。塾生からの会費徴収などはない。
- 北:長崎市は何を目的に助成金を支出しているのか?
- Ans:長崎伝習所とは私たちの塾だけでなく他にも多様な塾があり、大元は市民によるまちづくり、長崎市の活性化が応募のテーマになっている。
市民講座の自主企画に助成金を出している、という風に考えてもらうと一番近いと思う。確たる成果を出さなければならないというイメージは塾長は別としても、塾生にはない。 - 北:最終的なデータを長崎市はどのように活用するのか?
- Ans:当塾は調査を始めて日が浅く蓄積データがないため、さるく観光のなかの「ねこさるくMAP」のようなパンフレットを作成し、関係各所に配布することを成果として報告する予定である。
しかし、パンフレットが即ねこの命を救うことには繋がることはないので、そのデータを基に地域猫活動に活かせるようにしたり、ねこ好き・ねこで困っている市民どちらにもさらにねこに対する理解を得るにはどうすればいいのか模索している。
また、将来的には子どもたちを調査に巻き込んで、学校などの教育関係者とも連携を取り、幼少時期から命の尊さや適正飼育の啓蒙を図ることができればよい、と漠然とではあるが考えている。 - 塾生からの質問(以下「塾」と省略):調査を始めて3年を経て蓄積されたデータは北九州市へ報告したのか?
- Ans:結果をパワーポイントで作成してプレゼンを行い、そのデータを提出した。
- 塾:北九州市はそのデータを活用して何らかのアクションを起こしたか?
- Ans:不定期の懇話会やシンポジウムなどは開催されたが、それを活かしたものとなると特筆できるものはない。糞害、たばこのポイ捨て防止などのマナーアップ条例を策定する際の基礎データに使用された。
北九州市が動物愛護推進委員に委託してねこ調査をしている。依頼されたからやっていたが報告した結果をどのように活用するのか、その報告もフィードバックもない状況。
データを活かせる人材の不足、配置替えの多い行政では難しいのかもしれない。推進委員が働きかけを行ったが、実は結んでいない。
調査に関して助成金は出ておらず、双眼鏡などの備品は援助してもらったが、その他全ては調査員の手弁当。 - 塾:愛護推進委員は何人いる?また、委員の選出方法は?
- Ans:今年は55人。市が認めた愛護団体から選出されている。
- 塾:愛護推進委員に担わされる仕事は何か?
- Ans:北九州市の動物愛護センターは毎月第2土曜日に譲渡会を開催しており、その手伝いが推進委員の主な仕事。チラシ配布などで招集がかかることもあるが、稼動している人数はほんの少しというのが実情。
月に1度、委員を集めて勉強会をしようとセンターへ提案し続けたが実現しなかった。 - 塾:調査をしていて気持ちに変化はあったか?また、調査地域に変化は見られたか?
- Ans:当初、調査自体無理だと思っていたが、やってみたら出来て嬉しかった。生育が厳しそうな状況の子猫を見ると心苦しい。調査をする手前、介入してはいけない原則があるが、見てしまうと頭を占領されてしまう。ねこ好きには酷な作業。
調査をしていると興味を持って声をかけてくる人が多い。そのような人たちから沢山の情報をいただく。しかし状況だけを見ると、変化はあまりない。 - 塾:調査カードに書き込む個体識別名の名づけのコツは?
- Ans:適当です。その猫の世話をしている人がつけている名前を流用したり、飼い猫に似ている場合は「○○もどき」など、イメージから連想された名前をつけている。
- 北:調査を行って長崎では何か変化があったか?
- Ans:観光地にて老若男女がねこに群がるのでよく声をかけられる。情報提供してくれる人が多い。
見学会(JR門司駅前柳町地区)
同地区を担当しているS氏に先導してもらい、山根氏、N氏同行のもと柳町のねこ調査を見学した。
柳町は浜口町の飲食店街と新大工町の商店街を足したような雰囲気を感じた。生憎の雨ではあったが、車の下、小路の奥などに多くの猫を見ることができた。
長崎と同じくねこ困りさんが作ったであろう『エサを与えないで』の張り紙の近くに、盛り塩のように地面に置かれたドライフードや、ギョーザとスブタがおいしいらしい中華料理店の前には美味しそうなねこのエサが置いてあり、長崎と同じくねこ好き・ねこ困りの混在が見受けられた。
おわりに
環境から考える北九州市、観光から考える長崎市、立ち位置は違うがねこを取り巻く環境は同じであり、お互いとても参考になる意見ばかりで有意義な時間を過ごすことができた。今後とも交流を続けることを約束し、門司を後にした。