- もくじ
- 1. お知らせ
- いぬねこ里親譲渡会
- 「飼えないからって、捨てないで」キャンペーン
- 長崎の町ねこ調査隊塾 募集中
- 2. ねこのいる町 ──vol.2 稲佐悟真寺国際墓地――
- 3. ねこ、あれこれ
- 『ノラや』に思う、ねこと人の縁
- 4. おわりに
- 5. おまけ
1. お知らせ
いぬねこ里親譲渡会が開かれます。
日時:2011年4月24日(日)13:00~17:00
場所:宝町公園(長崎市宝町10 / 銭座町電停バス停より徒歩1分 / ココウォークより徒歩3分)
主催:しっぽの会
共催:長崎猫の会・長崎ライフオブアニマル
チャリティー・フリーマーケットもあります。
宝町公園は電停・バス停の目の前にあり、交通のアクセスも便利。
かわいいワンコやニャンコが待っています。
ちょっとのぞいて見ませんか?
“飼えないからって、捨てないで”キャンペーンがスタート
長崎県・長崎市・長崎のボランティア団体が協力し、
動物愛護意識の啓発キャンペーンが始まります。
長崎市内にある自治会掲示板なんと約2,700か所!に啓発ポスターが貼られ、
啓発のちらしが自治会の回覧として回ることになっています。
動物愛護のためにこれほど大がかりなキャンペーンが展開されるなんて
すごいことです。(拍手!)
昨年8月、熊本市動物愛護センター松崎所長の講演会に足を運ぶまで、
長崎市でこんなに多くの犬やねこたちが殺処分されている事を私も知りませんでした。
ポスターを見て「えっ、これって何だ?」と目をとめ、
ちらしを読んで「ああ、そうなんだ」と気付き、
一人でも多くの人に物言わぬ動物たちの命に
関心を持ってもらいたい――そう切望しています。
詳しくは
さるねこふみのブログをご覧ください。
長崎伝習所「長崎の町ねこ調査隊塾」募集中
応募のしめきりは4月30日(土)
ある時、ある人から、「町ねこ調査」について聞かれました。
「ねこば追いかけるとね?」
いいえ、追いかけるのではなく、観察するのです。
「ねこの絵ば描くとやろ?」
いいえ、ねこの絵をスケッチして楽しむ会ではありません。
一匹、一匹のねこを見分けるために、カードにその特徴を描き込むのです。
「ねこ好きの集まりね?」
いいえ、ねこの好きな人だけでなく、ねこに少しでも関心のある人なら
きっと楽しんでもらえる「町ねこ調査」です。
参加希望の方は、こちらのフォームよりご連絡ください。
長崎伝習所ホームページでも募集しています。
2. ねこのいる町 ――vol.2 稲佐悟真寺国際墓地――
長崎市稲佐山(いなさやま 333メートル)の頂上には展望台があり、
ここから見下ろす長崎の港やそれを囲む町並みは絶景です。
とりわけ夜景はすばらしい。
そのふもとにある稲佐地区は名所旧跡も多く、長崎観光のスポットになっています。
そのひとつが稲佐悟真寺国際墓地。
悟真寺は1598年に開祖され長崎では最も古い歴史を持ち、中国人の菩提寺とされ、
唐人(とうじん)墓地がつくられました。
1649年からはオランダ人墓地、1853年にロシア艦隊が来航した後はロシア人墓地もつくられ、
現在もそれぞれの墓地が残っており、その特徴がよくわかります。
と、前置きが長くなってしまいましたが、
「稲佐の国際墓地にねこさんがいっぱいいるよ」との情報を得て、桜満開の4月上旬、ねこを探してきました。
ここも前回の十人町(じゅうにんまち)同様、急な斜面地、狭い路地、
上と下にバスの通る大きな道路はあるものの、このあたり一帯はほとんど車が通らない、
いわばねこのサンクチュアリです。
江戸時代、稲佐には庄屋の屋敷や富豪の別荘などがありましたが、
今では港を挟んだ対岸の繁華街に比べると寂しい町になり、人通りも少なく、ねこさんたちが堂々と道を闊歩していました。
墓地の中には広い空き地もあり、何かをハンティング中のねこさんを発見。
しかし、カメラを構えたあやしげなおばさん(私です)に気づいて、脱兎のごとく逃げ出してしまいました。
このねこに限らず、この日出会ったねこさんはみな警戒心が強そうでした。
この日は午後5時過ぎから6時過ぎまでほぼ1時間のねこ探訪の間に、
5匹のねこさんに会いました。墓地の奥にねこはいませんでしたが、
墓地周辺の人家近くでねこを見かけたのは、餌をもらう時間帯だったのかも。
どのねこも首輪をしてなくて、みんな”ノラネコ”さん?
稲佐悟真寺国際墓地も5月から始まる「長崎の町ねこ調査隊塾」で調べてみたいねこポイントです。
3. ねこ、あれこれ No.2
『ノラや』に思う、ねこと人の縁
ねこの名前はノラ。性別はオス。毛並みは薄赤の虎ブチに白毛多い。
しっぽは鉤になって曲がっている、つまり尾曲がりねこ。
住所は東京、麹町、飼い主は内田百閒(うちだ・ひゃっけん 1889年-1971年 小説家・随筆家)。
ある日、百閒先生の庭にねこの母子が住みつき、そしてしばらくすると
「どうか何分共よろしくお願い申します」
とでも言うように子ねこを残して、母ねこは姿を消してしまう。
「自分で猫を飼って見ようと考えた事もなく、猫には何の興味もなかった」
百閒先生だったが、この子ねこにノラと名付け、
可愛がるというより溺愛するようになっていく。
ノラは「顔つきや、特に目もとが可愛く、又利口な猫で人の云う事をよく聞きわけた」
それなのに1歳半になった春のある日、庭から出て行ったきり帰ってこない。
さあ、それからが大変。百閒先生は仕事も手に付かず、食事ものどを通らず、
眠れない日々が続く。毎日「ノラや、ノラや」と呼び続け、
御年68歳の百閒先生は「ノラの事を気にすれば涙が出て泣いてしまう」のである。
もちろん八方手を尽くして探すが、見つからない。
近所への張り紙はもちろんのこと、新聞に広告を出し、折り込みチラシを何度も入れ、
謝礼金まで用意して、探し続ける。近隣四か所の警察署へノラの捜索願を出して
「警察は人の生命財産がおかされそうな場合、保護するのが役目でして、
うちの猫は駄猫で、そこいらにいくらでもいると云われると、一寸勝手が違うのです。
あの猫は五萬円するとか、十萬円で買ったとか、そう云う事になれば筋が立ち易い」
と言って笑われる。しかし、そうは言うものの警察署から頻繁にノラに似たねこの目撃情報がとどく。
昭和30年代の東京の警察署はずいぶんのどかで親切な対応だったらしい。
1ヶ月が過ぎ、2ヶ月が過ぎても、ノラの行方はわからない。
夢にノラが出てくる。目覚めると、まだ帰らぬノラを思いまた涙。
はたしてノラ君は無事帰ってくるのか?
結末を明かさないのは本を紹介する時の鉄則。続きは
『ノラや』(内田百閒 ちくま文庫 1,000円+税)をお読みください。
たかがねこ、されどねこ。
ありったけの愛情を注いだ家族同然のねこの失踪を嘆き悲しむ百閒先生の気持ちは
ねこ好きさんにはわかり過ぎるほどわかるはず。
ふとした出来事で縁を結んだねこと人は、人と変わらぬ、いやもしかして
人よりも心の底で通じる気持ちがあるのかもしれない、と思わずにはいられない。
4. おわりに
毎日のように、ねこの写真を撮っています。
レンズを向けるとあっという間に逃げてしまうねこ。
じっとして、まるでカメラ目線でポーズをとるねこ。
ねこもいろいろです。
逃げたねこを探したら、溝の奥からこちらをじっと見ていたので
パチリ。
5.おまけ
本の紹介です。
『にゃんこといっしょ』
かわいい子ねこの写真がいっぱい。ついニンマリしてしまいます。
そしていつもは禁句にしている「カワイイ」を連発。
写真の子ねこすべてが
保健所や地域ねこの現場から保護された
ねこたちなのだそうです。
この子たちの背後に
同じようにかわいいけれど救えなかった
多くの命があることを
忘れないでいたいと思いました。
『左利きの黒猫――ノア十七音のアルバム』
黒猫ノアの写真とノアと暮らす日常を五七五の俳句に結晶させた、すてきな本です。
どれもすばらしい作品ですが、とりわけ、心に残った句は
「親猫とおぼしきがおり霜の道」
「子猫とはもう呼べないで桜咲く」
でした。ねこへの愛情たっぷりの本です。