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長崎の町ねこ調査隊塾のめざすもの

 町ねこは、外を自由に歩き回るねこ、私たちがいつでもどこでも見かける町のねこです。外で暮らすねこたちは、人から餌をもらうことで命をつないでいます。人の手にすがらなければ生きていけないねこたちを守ってあげたい、ねこに餌を与えている「餌やりさん」はそう思っています。

 餌を食べれば、排泄します。町ねこたちのもたらす糞尿に困り果てた「ねこ困りさん」がねこを追い出し、快適な住環境を取り戻したいと願う気持ちもまた否定することはできません。「餌やりさん」と「ねこ困りさん」の対立は、時としてやっかいなご近所トラブルにもなります。

 町ねこのほとんどは避妊去勢手術をしていません。当然のごとく、次々に子ねこが生まれます。しかし残念なことに生まれた子ねこの多くは、病気や事故、栄養失調、鳥などによる捕獲、動物管理センターに持ち込まれ致死処分される、などのために短い命のままこの世を去ります。

 路地裏で日向ぼっこをしながらまどろむねこたち、ねこのいる風景は人の心をなごませてくれます。ねこの命を大切にしたい人とねこの被害に困っている人が折り合いをつけ、不幸な子ねこを減らし、ねこと人が平和に心穏やかに暮らす、長崎の町ねこ調査隊塾はそんな町をめざしています。

 町ねこを観察・記録し、データとして蓄積していくためには、長い時間が必要です。簡単に結果は出ないでしょう。携帯電話やメールによって瞬時に相手とつながる時代に生きる私たちは、時間をかけて待つことが苦手になりました。でも、ねこはじっと待っています。雲の合間から太陽が顔をのぞかせ、やさしくかわいがってくれる人の足音が近づいて来るのを。

長崎の町ねこ調査隊塾 塾長・中島由美子

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